WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

 ダイヤモンド表面修飾による機能化

( 文責:中村 雄介、稲葉 優文 一部改変 )

 

ダイヤモンドは表面の終端原子を変化させることが比較的容易な上、それによって全く性質の異なる表面を作り出すことが可能です。特にアミノ基による終端技術の確立は生体分子固定に必要不可欠です。ここでは、 水素終端多結晶ダイヤモンド表面に対して、 UV 照射によるオゾン処理、アミノ化を行いました。アミノ化、オゾン処理 30 分後の基板に対する XPS 測定の結果を図 1 (a) 、 (b) にそれぞれ示します。図 1 (a) より、アミノ化基板においては 399.2eV 付近に N 1s に起因するピークが観測され、また、 532eV 付近に O 1s に起因するピークも合わせて観測されました。また、図 1 (b) より、オゾン処理基板においては鋭い O 1s ピークが観測されました。

図1 各種ダイヤモンド基板に対するXPS結果
(a)アミノ化30分後   (b)オゾン処理30分後

次に、 XPS の結果から定量化を行いました。 UV 照射時間と吸着原子の被覆率との関係を図 2 に示します。図 2 より、酸素、窒素の被覆率ともに UV 照射時間の増加に伴って増加していることが分かります。このように、ダイヤモンド表面は UV 照射のみで簡単に表面改質することが可能です。これらの表面を利用すれば、性質の異なる FET を作製することが可能となります。

図2 各種ダイヤモンド基板に対するXPS結果
(a)アミノ化基板      (b)オゾン処理基板