WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

 微細ダイヤモンド電解質溶液ゲートFETとDNAセンシング応用

(文責: 平木 貴博)

 
 

微細化のメリット

トランジスタ型バイオセンサの大きな利点として感度を維持した微細化が可能なことが挙げられる。その理由は比例縮小則によりトランジスタのゲート長と幅が1/kに縮小しても、性能は維持されつつ必要なサンプル量は1/k2以下となるからである。またダイヤモンドSGFETは従来のシリコン型ISFETと比べ絶縁膜を必要としないことから高感度で微細化にも適しているといえる。

 


図1  トランジスタ比例縮小則

 

微細SFFETのDNAセンシングへの応用

このような考えからフォトリソグラフィーとAuエッチングにより微細SFFETを作製し(微細化による高感度SGFETの作製、文責 平木 貴博、参照)、さらにバイオセンシング応用としてゲート表面にプローブDNAを固定し、ターゲットDNAのハイブリダイゼーションの有無を高感度に検出する微細 DNAセンサを作製した(センシングの仕組みについては図2と、SGFETを用いたDNAセンサ、文責 古川・中村、参照)。

 
 
微細ダイヤモンドDNAセンサのハイブリダイゼーション前後でのVGS-IDS特性を図3に示す。complementary(相補的な)DNA 10pMのハイブリダイゼーションによりゲート電圧として15mVの変化が見られた。同様にdenature処理(二本鎖を一本鎖に戻す処理)、non-complementary(非相補的な)DNA、complementary DNAとハイブリダイゼーションを繰り返したときのゲート電圧変化を図4に示す。non-complementary DNAの場合1mV変化であることから、プローブと相補的なDNAと非相補的なDNAの差を区別することで高感度なDNAセンシングが達成できたといえる。
 
 
     

図3 微細DNAセンサのDNAハイブリダイゼーション前後でのGS-IDS特性

 

図4 相補的なDNAと非相補的なDNAのセンシングによるゲート電圧変化の差

 
今後はDNAに限らずRNAやLNA等にも研究範囲を広げさらに安定的で実践的なバイオセンシングの実現を目指していきます。