WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

電解質ゲートダイヤモンドFETによるバイオセンサへの応用

(文責: 出川 宗里)

 
 

ダイヤモンドは生体適応性有し、更に部分的に表面改質することにより、酵素やDNA等の生体分子を感応膜を介せずに直接固定することが可能である。これらの利点を電解質ゲートダイヤモンドFET(以下SGFETs)へ応用して、酵素センサやDNAセンサ等のバイオセンサを製作している。

酵素センサ

水素終端ダイヤモンド表面を部分的に改質することによってSGFETsはpH感応性を有する。この性質を利用して、尿素センサ(Urea sensor)及び、グルコースセンサ(Glucose sensor)を製作している。ダイヤモンド表面への酵素の固定は架橋法というオーソドックスな方法をも用いて、部分的に表面改質したダイヤモンド表面上のアミノ基と酵素のアミノ末端を結んでいる。尿素に特異的な酵素はウレアーゼ(Urease)で、ウレアーゼ存在下の尿素溶液中で尿素は分解してアンモニウムイオン(NH4+)を放出し、溶液のpHはアルカリ側へシフトする。一方、グルコースに特異的な酵素はグルコースオキシダーゼ等があり、グルコースオキシダーゼ存在化のグルコース溶液中では、グルコースは酸化されて、プロトン(H+)を発生し溶液のpHは酸性側にシフトする。これらの酵素を触媒とした反応によるpH変化を、部分的に表面改質しpH感応性を有するSGFETsで検出している。pH感応性及びダイヤモンド表面への酵素の固定を改善することにより更なる特性の向上が可能である。現在はこれらとは異なる生体分子を用いて、異なる検出プロセスによるバイオセンサを製作中である。

 

図1 ダイヤモンド表面上への酵素の固定

 

図2 グルコースセンサのFET特性