WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

 ダイヤモンドで固定したDNAの特性分析

(文責: 梁 正勲)

 
 

医療分野において遠隔治療時代の到来が確実視されている。その方法として、ネットワークを通じて生体からの電気信号をモニタリングする方法が提案されており、生体信号を電気的信号に変換するバイオセンサの開発は21世紀情報化社会において必須課題とされている。この時代的要求からすでにナノサイズデバイスは実現されており、その微細化技術を応用したナノバイオセンサが期待されている。

我々はこれまでに水素終端表面伝導性を用いた電解質溶液ダイヤモンドFET(SGFET)を作製している。また、部分的にアミノ化したSGFETにグルタルアルデヒドをリンカーとしてDNAを固定したDNAセンサも試作している。今回、新しい微細パターン方法を適用し、ダイヤモンド表面にジカルボン酸化合物(CAC)をリンカーとしてプローブDNAを固定し、ターゲットDNAとして相補的DNAと非相補的DNA を利用して、ハイブリダイゼーションの効率と選択性を評価した(Fig1)。まず、アンモニアガス中でUV照射を行なうことによりプローブDNAを固定できるアミノ基が生成される。照射時間によってアミノ基の密度を調節できることから、プローブDNA の密度を調節することも可能である。今回は4.3%のアミノ化表面でハイブリダイゼーション効率を評価したところ、プローブDNA密度が低い場合はリンカーの柔軟性より結合部位の密度が重要なパラメータになる事を確認した(Fig. 2, 3)。

 

Fig 1 新しい微細パターン方法を適用した選択的ハイブリダイゼーションの写真

 
     

Fig 2 リンカーによるハイブリダイゼーション効率比較

 

Fig 3 UV照射によるダイヤモンド表面のアミノ化