WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

 パワーMOSFETの心臓部・ゲート絶縁膜

( 文責: 斉藤 達也 )

 

川原田研究室では、大電力制御を目指したパワー半導体デバイスの心臓部であるゲート絶縁膜として、酸化アルミニウム(Al2O3)を専門に研究する班を設けています。半導体デバイスでは、絶縁膜に電圧を加えることで電流を制御しており、パワー半導体デバイスは、より高い電圧を絶縁膜に加えるため、絶縁膜の性能が極めて重要になります。また、ダイヤモンドデバイスは高温環境での利用が期待されているため、用いられる絶縁膜は、絶縁耐圧などの電気特性だけでなく、耐熱性にも優れている必要があります。Al2O3は優れた電気的絶縁性を持つため、ダイヤモンドデバイスの絶縁膜として有望です。私たちは、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法を用いて高温雰囲気にて成膜することにより、耐熱性に優れたAl2O3の形成に成功しました。下図は、ALD法の成膜過程を表しており、①→②→③→④→①を繰り返すことで、原子レベルで成膜を制御でき、絶縁膜に適した平坦なAl2O3の形成が可能になります。

さらに、この耐熱性に優れたAl2O3をゲート絶縁膜としてデバイスに応用することで、他の半導体材料では動作できない高温環境下において、ダイヤモンドデバイスを安定動作させることに成功しました。