WASEDA UNIVERSITY |
ダイヤモンドNVセンターを利用したバイオセンシング技術を目指して |
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【研究の背景・目的】 ダイヤモンド中の窒素と空孔により形成されるNVセンターの電子スピンと、他の電子スピンや核スピンとの相互作用の応用として、量子コンピューター用キュービット、表面吸着分子の局所核磁気共鳴(NMR)検出等の研究が世界的に非常に盛んである。図1に示すように、負に帯電したNVセンター(NV-)の2個の電子スピン(S=1)が、磁場なしで2準位(MS=0とMS=±1)に分裂し、室温でスピン偏極し、マイクロ波(2.88GHz)でスピン共鳴吸収する。NV-の電子スピンのMS=0とMS=-1の重ね合わせが、スピン共鳴と単一光子源としてのNV-の赤色蛍光(638nm)により、高感度検出できる。このMS=0とMS=-1の重ね合わせのエンタングルメント状態で、単一核スピンが検出される。既にダイヤモンド中の13C(論文1)や表面上のオイルやPMMAの1HのNMR観測がドイツ、米国から報告され、緊急性が高いテーマである。しかし、まだ感度、安定性が低く、これを克服し、単一NV-センターによる生体分子の局所NMR観測を本研究で行う。 【研究の方法】
【期待される成果と意義】 近年、10-20塩基(3-8nm)の短いDNAやRNAの挙動が注目され、メッセンジャーRNAとの結合によるRNA干渉を利用した医薬品やDNA/RNAセンサ(論文2)等に利用されている。これらの短いDNAやRNAの2次構造変化、つまりコンフォメーション変化、例えばタンパク質とカップルする際の構造の動的変化は、分子生物学の重要テーマである。通常のNMRは集団的な生体分子の挙動で、個々分子の2次構造変化の測定手段はない。本研究の局所的なNMR観測が可能となれば、分子生物学における貢献は計り知れない。 【当該研究課題と関連の深い論文・著書】
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