WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

 SiC上に形成したカーボンナノチューブ(CNT on SiC)

( 文責: 稲葉 優文 )

 

炭化ケイ素(SiC)を超高温の真空中で加熱すると、表面付近のSi原子が先に昇華することで、残った炭素がカーボンナノチューブに再構成するというSiC表面分解法は、名古屋大学の楠教授のグループにより発見されました。通常、カーボンナノチューブの成長には触媒を用いますが、この手法は数少ない無触媒による成長法です。また、このカーボンナノチューブは、SiCのC軸(000-1)方向に配向して成長し、しかもそのカイラリティ(グラフェンシートの巻き方)がジグザグ型にそろっていることが知られています。この特性にも関わらず、あまり研究がなされておらず、未解明な部分も多いのが現状です。

川原田研究室では、このCNT on SiCを研究室で合成し、評価し、デバイスを作製することを一貫して研究しています。図は、CNT on SiCを上から原子間力顕微鏡にて観察した像です。カーボンナノチューブの端部(キャップ)がぎっしり詰まって存在していることが確認できます。通常、触媒法により形成されるカーボンナノチューブはあまり高い密度を得られず、いわばスカスカな膜を形成しますが、CNT on SiCは非常に稠密です。この性質を利用して、多数のカーボンナノチューブが集合した状態での物理的性質を、電気特性、表面状態などから評価しています。

詳細は・・・まだ秘密です。

図 CNT on SiC上面の原子間力顕微鏡像