WASEDA UNIVERSITY
              
 
 

 微細化による高感度SGFETの作製

(文責: 平木 貴博)

 
 

我々はこれまで、水素終端ダイヤモンドの持つp型表面伝導層を用いた電解質ゲートFETを作製し、その安定な動作に成功しており、この電解質ゲートFETを用いたバイオセンサの作製を目指している。しかし、デバイスのサイズが大きいことから感度、実用性等の面で問題がある。そこで本研究では、センサの集積化・センシング性能の高感度化を目的にFETの微細化を行った。またさらにバイオセンサ応用に向けて、ゲート部をアミノ終端に表面改質しpH依存性を評価した。

まず、フォトリソグラフィーとAuエッチングによりFETのゲート長を従来の500μmから5μmまで微細化を行った(図1)。各ゲート長における相互コンダクタンスは表1に示すとおりであり、微細化により相互コンダクタンスの大幅な上昇(約150倍)が認められた。

 
 
     

図1 微細SGFETデバイス図

 

表1 各ゲート長における相互コンダクタンス

 

次に、作製したFETの水素終端表面をUV照射により部分的にアミノ化しpH感応性を評価した(ダイヤモンドSGFETのpH感応性、文責 佐々木、参照)。緩衝溶液中 (pH=5~10)で部分的にアミノ終端処理したFET (UV照射時間:4時間) の閾値電圧を測定した結果を図2に示す。これより、pHが高くなるほどFETの閾値電圧は正の方向に最大で40mV/pHシフトしていることが分かる。

 

図2 アミノ終端ダイヤモンドのpH感応性

 
このアミノ基上に酵素やDNA等の生体分子を固定することで様々なバイオセンシング応用が期待できる。